ろくろ職人としての伝統と
“用の美”の融合を目指して

「木地屋やまと」は、長野県の南端の方に位置する木曽郡南木曽町の「漆畑」という地にあります。1000年以上の伝統を持つろくろ職人の集落“木地師の里”と呼ばれており、今でも5軒ほどの木地師が工房や販売店を営みながら暮らしています。私の苗字「小椋」は、古くから木地師として山々を歩いた氏族であることを示しているんです。ろくろ職人としての伝統を継承しながらも、使っていただける皆さまを第一に考えた“用の美”を追求しています。

ろくろを挽いて
漆を塗って

南木曽漆畑は「木地師の里」です。木地だけを生産する場所として漆塗りまでやる伝統はありませんでした。塗りは塗師に頼むか、漆器の産地に卸すというのが一般的でした。でも、最後の塗りまで自分自身で取り組むことによって、木地を活かした塗りができると思いました。伝統の良さを生かしながら現代のセンスを取り入れ、毎日使っていただける器を提案できたらと思っています。

使い込むうちに
木目の表情が変化する器

木目は一つとして同じものはなく、一カンナかけるごとに流れるように変わっていきます。木地師は一番美しい木目を追い求めるものです。国産の栃材を使用した鉢は、轆轤目を残して透明度の高い素黒目(すぐろめ)漆を塗ることで、木地が少しずつ透けて、使い込むうちにさらに輝きを増し、残したカンナ目が水紋のように現れるように仕上げました。白木のボールは、国産の栓の木を使用し、荒挽き・仕上げ挽きをし、植物油の乾性油を含侵しました。末永くご愛用いただき、木ならではの質感や変わりゆく木目の表情をお楽しみください。

自然とともに
木とともに

現在、日本人のライフスタイルが日々変化していくなか、あまりにも急速すぎて人間としての速度と少しずれてきているような気がします。自然とともに、木とともに、自然の流れのひとつとして、人間としての速度の中で暮らしていけるこの仕事ができてよかったと感謝しています。温故知新の言葉のとおりに、先人からの教えをあたため、時代にあったものをつくっていきたいですね。使っていただける皆さまを第一に考え、これからも樹とともに生きていきたいと思います。

profile

小椋 正幸(おぐらまさゆき)

1967(昭和42)年、長野県木曽郡南木曽町生まれ。木地屋を代々営む家に育ち、父・榮一からろくろを学ぶ。1997年、故郷に工房を構える。2010年から「木地屋やまと」主宰。日本伝統工芸新作展、国展、日本民藝館展などに入選。