植物ってのは生き物で、天候によって生長に違いが出てくるんだ。出荷に適した大きさにならずに規格よりも小さいトマトとか。完熟状態で、割れてしまうのとか。こういうのは自分たちで食べたりするくらいで、本当なら、ぶちゃるようになっちゃうわけだ。で、これらのミニトマトをジュースにしてるわけ。
トマトジュース特有の青臭さがなく、甘くて、トマトジュースが苦手で飲めない人でも飲みやすいトマトジュースだと思うよ。
トマトを作り始めた頃はな、ハウスがあればちょっと飛び込んで、教わったり、作っている方の話の中から、ああだな、こうだなっていうかたちで始めたわけよ。でも、始めの頃は「まずい、まずい、まずい」って言われてな。トマトの味は、トマト自体がだすものだから、俺らは、なんもしてやれないわけよ。じゃぁ、どうしたら良いかってば、人のやらねぇ、土に有機質入れたり、試行錯誤を繰り返してきたわけだ。で、だんだんトマトの味がよくなって。
あとは、トマトってのはやっぱし、夏草だからお天道様だよな。7月中旬くらいから8月いっぱいくらいまでが、味も色づき方も最高だな。
トマトを作り始めた頃は、有機のたい肥だとかいうもんじゃなくて「窒素、リン酸、カリ」を含んだ金肥を大量にくれれば、ものはいくらも採れると。だけど数年前に、ベト(土)に、肥料くれすぎちゃったのが原因ほとんど枯れちゃって。
そこから、炭だったり、米ぬかだったり…。有機質のものでベトを作るようになったの。あと、針葉樹じゃダメなんだよな、広葉樹の完熟たい肥。それで、炭も広葉樹じゃなきゃ、針葉樹はダメなんだってな。最近ではベトに納豆菌を入れたの。
トマトをつくる上で、土が命なんだもの。
幼い子どもがさ、食べるってのは嘘がないんだよ。トマトってのは、やっぱし癖があるから、「嫌い」「食べない」っていう子どももいるんだよ。でも、そういう子どもでさえも、うちのトマトを食べるってさ、日本中から買いに来てくれて。まあ、なんしろ嬉しいことだよな、そうやって「孫が食べなかったのが食べる」「私もトマトジュースなんて飲んだことがないけど、このうちのは飲める」って言われればさ。
これからも、どこで何を言われても誰にも負けないよっていう。エネルギーの高い、うちのを食べれば病気の人だって治っちゃうんだよっていうトマトを作りたいね。
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小林 正彦(こばやし まさひこ)
ストリーム・ファーム会長。1947(昭和22)年、長野県東御市生まれ。農業関係の営業をしていたが、38歳の時に脱サラし、農業の道へ。現在17棟のハウスに、約8000本のミニトマトの栽培を行っている。