場所は山奥でもよかった。でも人が来ないと寂しい。ここはちょうどいい。
 

長屋門だった建物を仲間に手伝ってもらい、自分で改装しました。まずは片付けるところからのスタートで大変でしたけど、楽しかったですね。自分の好きなように作ることができるので。窯も手作り。工房の中も作業がしやすいようになっています。

1Fはギャラリーとショップ、2Fはカフェ、奥に続く長いスペースが工房です。

嬉しいことに必ず毎日1組はリピーターの方が来店してくれます。15年前に来てくれた話とかするのは楽しいですね。地道に広がっているのを感じます。

中に何か入れて完成する「器」

土地の個性をガラスに出したいと考えて出来上がったのが「くるみガラスⓇ」。胡桃の殻の灰をガラスの原料に混ぜて作ります。溶かして出来上がったガラスは淡い緑色。宙吹きの技法で入る泡も魅力の一つで、小さなものは「ぐいのみ」から大きな「ボウル」まで様々なものがあります。橙 オリジナルです。

目指すのは使う人が何かを入れた時の美しさ。それで完成する器。だから形はわかりやすく、シンプルなものが多い。使う人のために余白を残しています。

お客さんとの会話から生み出される

心がけていることは、手にした時のサイズ感や口当たり。いつもそれを気にしながら作っています。だから実際にカフェで器に触れてもらって、試してもらいたい。

例えばこのピッチャー、手にするとわかりますが、軽く仕上げてあります。取っ手の部分に多く空気を入れているんです。全部ガラスだと中に何かを入れた時に重くなってしまうので。そんなことも考えながら作っています。お客さんから「もう少し大きいサイズがあればいいのに」と言われれば、それにこたえるために作ります。

生の声を聞けるのはお店があるから。だからお店は楽しいし、大事です。

全ての刺激の中からいいものができる

とにかく毎日毎日ずーっと作っています。作品づくりはガラスと一緒で繊細。だから一定のリズムで同じように作ることが大事。同じことの繰り返しで精度を上げていく。

毎日同じものを作っていても飽きることはありません。今後はまた新しいアイテムも考えていきたいですね。

profile

寺西 将樹(てらにしまさき)

1969(昭和44)年長野県丸子町生まれ。東京造形大学を卒業後、ガラスメーカーへ就職。そこで真紀子さんと出会う。1999年に独立し、真紀子さんと海野宿に「ガラス工房 橙」を築房。日本クラフト展、伊丹国際クラフト展、日本民藝館展などに入選。